撮影で思ったこと。
先日、竣工から約1年が経ったA様邸の撮影に行ってきました。
この家は2階リビング。

リビングから空が大きく見えて、夕方にはきれいな夕焼けが見えるように計画しています。
完成してから時間が経ち、実際に暮らしが始まった家で改めてこの景色を見ると、
設計していた頃とはまた違った感じがします。
この敷地は高さや面積などの規制が厳しく、
その一方で、ご家族からはたくさんのご要望がありました。
限られた条件の中で、できるだけそのご要望を実現するために、
プランもデザインも何度も打ち合わせを重ねました。
簡単にまとまった家ではありません。
でもその分、ご家族の「好き」がたくさん詰まった家になったと思います。
そしてこの家の設計は、僕自身、
これからの家づくりについていろいろ考えるきっかけにもなりました。
僕たちが設計を始めた頃と比べると、家づくりを取り巻く情報量はものすごく増えました。
InstagramやPinterestを見れば、世界中の住宅の写真が次々と出てきます。
間取りも、キッチンも、収納も、素材も、検索すればいくらでも事例が見つかります。
そしてこれからはAIも、家づくりの中にどんどん入ってくるでしょう。
もちろん、それ自体はとても良いことだと思います。
以前なら知ることのできなかったものを知ることができるし、
自分たちの「好き」を見つけることもできます。
ただ、情報が増えれば増えるほど、
家づくりが簡単になるかというと、僕はむしろ逆の部分もあると思っています。
「あれもいい」
「これもやってみたい」
「こんな家も見つけた」
選択肢が増えるほど、何を選ぶのかは難しくなる。
だから最近、建築家というか、僕の役割も少し変わってきているように感じます。
もちろん僕自身、
「ここはこうした方がいい」
「この家なら、こうあるべきだ」
という設計者としての軸は持っています。
それをきちんと提案することは、これからも変わりません。
ただ、設計者の考えだけを押し通せば良い家になるわけでもない。
たくさんあるご要望や情報の中から、
何を大切にするのか。
何を活かすか。
そして時には、何をやめるのか。
それを一緒に考え、最後にひとつの建築としてバランスを取る。
そこまでが僕の仕事なんじゃないかと思っています。

今の家づくりでは、建築費の上昇を無視することができません。
何でもできる時代ではなくなってきました。
だからこそ、土地を無駄なく使い、その場所のメリットとデメリットを見極める。
そして限られた予算の中で、どこに力を注ぐのかをはっきりさせる。
何を大切にする家なのか。
そこを見失わずに、ご家族と一緒にひとつの答えをつくっていく。
撮影しながら、そんなことを改めて考えました。




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